摺針峠(すりはりとうげ)は中山道の番場宿(ばんばじゅく)と鳥居本宿(とりいもとじゅく)の間にある峠のことである。この峠には弘法大師の残した歌にまつわる伝説が残っているそうである。
道はなほ学ぶることの難からむ斧を針とせし人もこそあれ
修行中であった弘法大師がこの峠にさしかかったとき、白髪の老婆が石で斧を磨ぐのに出会い、話を聞と、一本きりの大切な針を折ってしまったので、斧をこうして磨いて針にするという。そのとき、大師は、自分の修行の未熟さを恥じ、さらに修行に励んだということである。
また、この峠には望湖堂(ぼうこどう)という茶屋が設けてあり、峠を行き交う人はここで琵琶湖の景色を楽しみながら「するはり餅」を食べたそうである。この望湖堂は本陣に並ぶほどの立派な構えであったようであるが、平成3年(1991年)に火災により消失した。
今回は鳥居本宿側から番場宿へと車で峠を越えた(彦根側から米原方面へ)。上って峠までの道はそれほど狭くないが、峠を下って米原方面へ行く途中で、名神高速道路と併走するあたりから、かなり狭くなる。対向車が来ると結構厳しいかもしれない。
神明宮から望湖堂跡と琵琶湖を望む(2010年8月31日)晴れ
撮影位置
望湖堂跡